独創的なテーブル・クロック「ロータス」 - 人類が、今、直面しているすべての困難の克服を祈って

ロシア、サンクト・ペテルブルクの独立時計師 アントン・スハノフは、古代からの神聖なシンボルである「ロータス(ハス)」をテーマに、人類が深刻な脅威に直面している2020年、「ハス」のもつ驚異的な生命力、泥沼で生まれながらも美しい花を咲かせる、純粋さと悟りの象徴である「ハス」のように、人類がすべての困難を克服することを祈願してコンプリケーション・クロック「Lotus(ロータス)」を製作しました。

アントン・スハノフについては、こちらをご覧ください。


「Lotus(ロータス)」クロックについて

ロータス・クロックは、独立時計師 アントン・スハノフの新しくて素晴らしいプロジェクトです。金属の花の形をしたテーブル・クロックのアイデアとその動きは驚くべきものです。このクロックは、長く細い茎につぼみが付いたメカニカルな花であり、日中はつぼみの花びらが自動的に開き、つぼみの内側のガラス製ドームが解放され、その中で蝶や蛾が飛び回っているように、トリプル・アクシスのトゥールビヨンが回転します。 


ここでおなじみのムーブメントの構造は、作り直されて再構築されただけでなく、不可能だと思われるかもしれませんが裏返しにされています。メインのムーブメントはワールドタイムが表示されている丸くてフラットなスタンドの中に隠され、その中央から細長い棒が突き出しており、銀色の花びらでつぼみを飾っています。生きている花のようなメカニカルな花びらは、中央のディスクの矢印で示されているホームタイムの時間に応じて、日中は開花し、夜は閉じます。つぼみの中にはガラスドームがあり、トリプル・アクシス・トゥールビヨンがまるで魔法のように浮かんでいます。またこれは、秒表示も兼ねています。 


もっとも重要なタスクは、機械的なイメージと運動学の助けを借りて花を「復活」させることであり、外観を似せることではありません。花びらは、まるで本物の花のようにゆっくりとスムーズに開閉し、地球上の昼/夜の周期に従い、永遠のライフサイクルの連続性を象徴しています。トリプル・アクシス・トゥールビヨンのキャリッジの複雑な動き、特に空間のバランスの変動は、花の上に留まっている蝶や蛾の羽ばたきを象徴しています。また特許取得済みのフレーミング・バランスのテクノロジーにより、テン輪を暗闇で光らせることができ、洗練された空間の動きと組み合わせて、驚くべき光のパターンを生み出します。 

動画が公開されていますので、ご覧ください。


このモデルの概要は、このようになります。



では、それぞれのコンポーネントを詳しく見ていきましょう。

フレーミング・バランス


アントン・スハノフが特許を取得したフレーミング・バランスの技術がこのクロックに採用されています。このアイデアは2018年に生まれ、マスター・ウォッチメーカーがファロスのクロックで初めて使用されました。この技術は、発行物質である特殊なマテリアルをテン輪にインサートすることで、テン輪が特定の周波数で振動すると、このマテリアルからの光の軌跡が合体して明るい円になり、光の部分が大きくなります。これにより、光っている面積を拡大することができ、トゥールビヨン・キャリッジの複雑な動きにより、さまざまな光のパターンを作り出すことができます。 




チタニウム製のキャリッジ



すべてのキャリッジはチタニウム製で、全体構造の驚くべき軽量性と強度を実現しています。これは比較的高い回転速度(最内が18秒、中間が21秒、最外が60秒で1回転)で、エスケープメントを安定して動作させるために必要なことです。チタニウムは扱いにくいですが、耐腐食性に優れ、仕上げ後の見栄えも良くなります。またこのマテリアルは陽極酸化によって安定した明るい色にコーティングすることができ、その仕上げがなされた最内のキャリッジは、エキゾチックな蝶に似た象徴的な動きで際立ちます。 




独自のエスケープメント



脱進機のユニット(ガンギ車とアンクル)は、このクロック用に特別に開発されました。脱進機の開発と製造は、高級時計の基本的なタスクのひとつです。この作業には、優れた理論的知識だけでなく、パーツの高精度な製造とウォッチメーカーの高度なスキルも必要です。時計が時間を測定できるようにするエネルギー消費の均一性について大きな責任を担うのが、このユニットとテンプです。自社で脱進機構を開発した時計会社だけが、マニュファクチュールと名乗る権利を持っています。 




仕上げ


パーツの仕上げには最大限の注意が払われています。各パーツはマスター・ウォッチメーカーが手作業で製作し、古典的なスイスに基準に従って丁寧に仕上げられています。同時に、古い手法にとどまらず、常に新しい方法、組み合わせを考えだし、作品自体のデザインと外観をさらに強調することができます。何世紀にもわたるウォッチ・メイキングのテクニックを頼りに、私たちは常に仕上げの分野で新しいアイデアを開発しようとしています。時計学がその完璧さで際限なく発展し、新たな高みを征服することを可能にするのはこのアプローチです。 




クロック・ケースの並外れたフォルム


クロックのケースは、スタイリッシュなインドア用の鉢植えに似ています。ベース上面のディスクはチタニウム製で、他の鉢植えの部分よりも耐摩耗性に優れ、濃いめのテクスチャーです。家の中ではハスは育たないこと、3日で枯れてしまうことは誰も知っていますが、このフォルムは花の集合体です。花は美しさと生命の象徴であり、人々はいつも家を花で飾りました。ハスは負のバイブレーションから自分の周りの空間を浄化することができます。ハスのオーラは、その隣に不潔なものが共存できないほどの強力なエネルギーを放出します。 




インスピレーション


ロータス(ハス)は、エジプトから日本に至る多くの偉大な文明において神聖なシンボルとみなされていました。古くからこの花は称賛され、神のシンボルのように崇拝されてきました。ハスの花は様々な宗教においても言及されており、平和、豊穣、長寿、名誉、幸運を象徴しています。

古代のハスという植物についての驚異の物語がたくさんあります。1881年、エジプト王朝のファラオ、ラムセス2世とNsi-Khonsu王女の墓の発掘中に、3,000年間地面に横たわり、その色を保持していたいくつかの乾燥した青いハスのつぼみが見つかりました。1933年、ロンドン近郊のキュー王立植物園で、科学者たちは1,040年前の種子を発芽させることができました。そして、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のアメリカ人科学者たちは、博物館のひとつに遺物として保管されていた、1,228年前のハスの実から健康な若い芽を育てることに成功しました。日本に来た時、彼らは古代の泥炭沼で3つのハスの実を見つけました。放射性炭素分析で示されるように、その年齢は約2,000年であり、それらから本格的な苗木を育てることができました。そのような物語は、人々を驚かせます。

ハスの信じられないほどの美しさと、数千年後も生き続ける能力の組み合わせは、マスター・ウォッチメーカーにユニークなクロックを創作することを示唆し、そこで彼はこのイメージを作品に取り込もうとしました。また、人類が突然深刻な脅威に直面したのは2020年であり、ほとんどの人々の生活は劇的に変化し、これらの変化は将来への不確実性と恐怖を引き起こしました。したがって、泥沼の水で生まれるが、無垢で純粋な世界にやってくるハスの花(純粋さと悟りの象徴)のように、人類は間違いなく2020年のすべての困難を克服するでしょう。そしてこの「ロータス・クロック」は、美しさと完璧さの象徴となるでしょう。







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