Schwarz Etienne ROMA SYNERGY by Kari Voutilainen(シュワルツ・エティエンヌ "ローマ・シナジー" バイ・カリ・ヴティライネン)- part 1

弊社では、スイスのマニュファクチュール・ブランドSchwarz Etienne(シュワルツ・エティエンヌ)取扱のための準備をいたしております。 それにあたっての、第一弾展開モデルが確定しましたので、ご案内いたします。 


SCHWARZ ETIENNE ROMA SYNERGY

BY  KARI VOUTILAINEN

このモデルは、Schwarz Etienne ROMA SYNERGY by Kari Voutilainen(シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー・バイ・カリ・ヴティライネン)という名称で、名前の通り、2つのマニュファクチュール、シュワルツ・エティエンヌとカリ・ヴティライネンの共同製作によるマスターピースでございます。

では、このモデル、またシュワルツ・エティエンヌというブランドについて、何回かに分けてご紹介いたします。本日はそのパート1、このモデルの開発にまつわる物語です。




Schwarz Etienne(シュワルツ・エティエンヌ)は、1902年、Paul Schwarz(ポール・シュワルツ)と彼の妻Olga Etienne(オルガ・エティエンヌ)によって設立され、今日では、印象的なデザインと自社製ムーブメントを特徴とする幅広いウォッチ・コレクションを提供してます。さらに、他社にヘアスプリングや、プライベート・ブランドへのコンプリート・ムーブメントを供給しています。

シュワルツ・エティエンヌのCEOであるMauro Egermini(マウロ・エジェルミーニ)は数年前にKari Voutilainen(カリ・ヴティライネン)に会いました。彼はすでにこのフィンランド人の並外れた仕事とその評判を知っていましたが、2人で話した時、マウロはカリの愛情のこもった謙虚さに心を打たれ、心が癒されました。2人の男は、再び数回話をする機会があり、最終的に何らかの形で協力する可能性を探りました。

マウロ・エジェルミーニ(左)とカリ・ヴティライネン(右)

Schwarz Etienne ROMA SYNARGY by Kari Voutilainen(シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー バイ・カリ・ヴティライネン)には、2つの会社の名前がついています。通常の顧客とサプライヤーという関係性ではありません。両社は、デザイン、ダイアルの製作、そしてムーブメントの仕上げに共同で取り組んできました。

このコラボレーションは、個別に作業するよりも、専門知識をもつ両当事者が共同で作業するということによる相乗効果の模範ともいえるものです。

Regulating organ - 脱進機構

殊のほか異例なことですが、シュワルツ・エティエンヌは、脱進機構のほとんどを社内で製造しています。これには、ガンギ車、アンクル、テンプ、そして最も注目すべきは、ヒゲゼンマイを自製していることです。非常に困難を極めるため、ヘアスプリングを自製している企業はほとんどありません。


Modular movements - モジュラー式のムーブメント

シュワルツ・エティエンヌは、そのモジュール式ムーブメントのデザインで高い評価を得ています。ムーブメントのいくつかは、香箱をマイクロローターに交換できるように設計されています。これは規模の経済性をもたらせます。例えば、モジュラー・ムーブメントは、2つの香箱を備えた手巻きか、香箱がひとつの自動巻きかに関係なく同じメインプレートとブリッジを共有します。このアプローチにより、印象的なヴァリュー・フォー・マネーに値する高品質のムーブメントを生み出すことができます。

Kari Voutilainen - カリ・ヴティライネン

カリ・ヴティライネンは、1962年生まれ、フィンランドのTapiola(タピオラ)にある時計学校に通っていました。彼は卒業を、WOSTEPでの指導、Parmigiani Fleurier(パルミジャーニ・フルーリエ)での修復作業とユニークピースの製作など、時計業界においてさまざまな職務に就いてきました。


2002年カリは、Val-de-Travers(ヴァル・ド・トラベール)に自身のワークショップ、Les Ateliers Kari Voutilainen(レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネン)を立ち上げました。自身の名を冠した時計を製作を始めて以来、彼の名前は、世界的に認められています。


Guilloché by Les Ateliers Kari Voutilainen 

レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンでのギョーシェ彫り

カリと彼の同僚は、「シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー バイ・カリ・ヴティライネン」のデザインに尽力してきました。さらに、レ・ザトリエ・カリ・ヴティライネンは、ダイアルの製作とムーブメントの仕上げを担当しています。

いわゆるギョーシェ・パターンのダイアルを備えた多くの量産型の時計では、円形の真鍮ディスクに圧力が加えられ、表面がパターン化されています。しかし、「シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー バイ・カリ・ヴティライネン」のダイアルは、ローズエンジン旋盤(複雑なカム仕掛けで幾何学模様を彫ることのできる旋盤)を使用して、優れた鮮明さで製作されます。


これらのマシーンは手動で操作されます。コンピュータ制御でもなく、電力を使うわけでもありません。通常、ローズエンジン旋盤は、新しい交換パーツが入手できないため、非常に古いものが多いです。確かに、カリのアトリエにあるローズエンジン旋盤は、1907年製です。


ローズエンジン旋盤で、様々な形状のカムまたはローゼットを使用することにより、熟練のアルティザンは、さまざまなパターンをシルバー・ディスクに与えることができます。


もっともシンプルなギョーシェ・ダイアルには、ひとつのパターンしかありませんが、「シュワルツ・エティエンヌ ローマ・シナジー バイ・カリ・ヴティライネン」では、さまざまなパターンを備えています。ですから、ダイアルが完成するまでには2日を要します。

次回は、このモデルをいろいろな方向から検証していきます。

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