一人の男からブランドへ

ARMIN STROM - スケルトン・ウォッチに特化したマスター・ウォッチメーカーの名前が、新進気鋭の独立系ウォッチ・ブランドへと変貌していく物語 


Armin Strom(アーミン・シュトローム)氏は、ウォッチメイキングを学び、1967年に生まれ故郷であるBurgdorf(ブルクドルフ)に自身のショップを開きました。


この小さな時計店の運営と並行して、彼は時計の修復も手がけ、当時の主要ブランドにおいては主流ではなかったスケルトナイズという特別な技法を開発しました。


最初のArmin Strom名義の時計は、1984年、まだ当時は「バーゼルフェア」と呼ばれていた見本市で発表されました。



自らの限界を打ち破るという彼の願望は、手作業によりスケルトナイズされた世界最小の女性用リストウォッチを創作させ、1990年のギネス世界記録という勲章をもたらせました。


また彼は、スイスの大手時計ブランドからの注目を集め、彼の手によるスケルトナイズされたリストウォッチをごく少数生産するようになりました。 

Armin Strom氏が、自身の会社を引き継ぐ人物を探していた頃、そのチャンスに飛び込んできたのが、


時計コレクターであり、家族の友人であったSerge Michel(サージュ・ミシェル、創業者)と、


彼の幼馴染の友人で、ウォッチメーカーであったClaude Greisler(クロード・グライスラー、共同創業者)でした。

SergeとClaudeは、スケルトナイズとファイン・ウォッチメイキングというArmin Stromのレガシーと同時に、このブランドを、若いチームではありながら、ムーブメントのコンポーネントの大半を自社で製作する、本当の意味での「マニュファクチュール」とするという野心的な計画を描きました。


「マニュファクチュール」としてのArmin Stromは2006年に設立され、2008年には、自社での地板、ブリッジ、レバー、スプリング、歯車、ピニオン、スクリューなどの製造が始まりました。













そのわずか1年後、8日間のパワーリザーブを備えたブランド初の自社開発キャリバーARM09が発表されました。




コンスタントに開発製造を続けていくことで、Armin Strom社は「マニュファクチュール」ブランドとして認知されました。今日では、この垂直統合により、97%が自社で開発製造されています。 

2011年、キャリバーAMW11が発表され、


 その後、印象的な10日間のパワーリザーブを備え、トゥールビヨンが搭載されたキャリバーATC10などが続きました。



そして、2016年Mirrored Force Resonance(ミラード・フォース・レゾナンス)を発表し、ブランドは大きな躍進を遂げることになります。

Mirrored Force Resonanceについては、こちらもご覧ください。

時計で初めて、2つの独立した発信器(バランス・スプリング)がレゾナンス・クラッチ・スプリングにより接続され、近接する2つの振動子が共振することで、2つの秒針の完璧な同期を生み出します。

これは、Claude Greislerと彼のチームによる2年半にも及ぶ研究開発の頂点であり、Armin Stromウォッチのより高い精度を目指すもうひとつのステップともなりました。 

少数チームによる小さなブランドですが、Armin Stromは独立系ブランドであることを誇りとしています。自社開発ムーブメントというのが、それを示す明白な例ですが、時計愛好家であれば、ムーブメントのコンポーネントの色や、わずかにオフセンターにセットされた時分針などを含む、個々のエレメントをカスタマイズすることをお望みになるでしょう。それが実現できるのはArmin Stromが、設計から製造にいたるまで完全にコントロールできるブランドであるからです。

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